華やかに,魅力いっぱいに店頭を飾っているオンラインストア。自らの利点を宣伝し,高いブランドイメージを創出しているドットコム企業。だが,そこにアクセスしたときに感じる,わずかな心の揺れ…。感じるでしょ,なにかが足りない,その感触…。
アートマークという集団が,オンライン玩具会社イートイズ社へ攻撃を加えることをインターネットユーザーに呼びかけている。これは,イートイズ社がアートグループ「イートイ」に対し,商標権侵害訴訟を起こしたことに抗議するもの。アートマークは,イートイズ社のサイトのアクセス数を混乱させるなどして,株価の下落,そしてイートイズ社の破壊を目指すという。
実際の店舗を破壊しようと思ったら,でっかいハンマーでも持ってお店に行けばいい。オンラインストアでもやることは一緒。サーバーに負荷をかけ続ければ,簡単に店じまいとなる。実際の店舗は店員という人間が信用ともなりえるが,オンラインストアは,データだけ。データが消されたら,信頼は失墜する。その点,店員が殺されるまでいかなければ,リアルワールドの方が救いようがあるか。壊れた店舗で店員が平謝りしていれば,まだなにかをくみ取ることができるかもしれないが,404のエラーメッセージは,それ以上のことを語りはしない。
私たちは,もしイートイズ社にアクセスできなくなったときに,なにかを感じ取ることがあるだろうか。もちろん,企業という傘の下で小さな芸術集団をムシケラのように扱ったことを取り立てることもあろう。だが,実際におもちゃを買うことを欲している客は,他のオンラインストアを探しに行くだけだ。そこには,打ち砕かれた看板もなければ,土下座している店員もいない。オンラインストア,またはドットコム企業の興隆は続いているが,そこにアクセスしたときに感じる,切なさ,のようなもの…。データは表情を持たないし,データに人の体の温かさはない。その切なさこそ,ワイヤードなんだけどね。
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